尿路結石症は、腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患です。
泌尿器科の外来でみられる疾患の中では最も頻度の高い疾患のひとつで、年間罹患率も年々上昇を続けています。特に壮年男性と閉経後女性に高頻度にみられます。
ほとんどは腎臓で形成され、診断時の結石の場所で腎臓結石、尿管結石、膀胱結石あるいは尿道結石などと診断名がつきます。腎臓結石、尿管結石が約95%を占め、膀胱結石、尿道結石は約5%ほどです。また後者は前立腺肥大症や尿道狭窄などの尿の出にくくなる状態の時に多くみられます。
疝痛発作(突然に生じる激しい痛み)、血尿が典型的な症候です。
腎結石は無症候のうちに経過することが多いのですが、これが尿流に沿って尿管内に落下し、結石による尿流閉塞と腎盂内圧の急上昇によって、腰背部から側腹部にかける激痛や下腹部への放散痛が生じます。夜間や早朝に起きることが多く、通常、3〜4時間持続します。一部には腎盂腎炎を併発し、38〜40度の発熱を呈することもあります。下部尿管に位置する結石では同時に膀胱刺激症状を伴うことも多く、頻尿、残尿感が起こります。
腎結石は無症状で経過することが多いため、検診などで偶然発見されることもあります。腰部の鈍痛のみが自覚されたり、結石周囲の細菌感染のために膿尿や細菌尿のみを認めるということもあります。
膀胱結石、尿道結石では膀胱刺激症状の他、尿流の途絶が生じることがあります。
結石の排出時には、通常、排尿痛や違和感を伴いますが、無自覚に排石されることもあります。
結石のある部位により腎臓(腎)結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と分類します。 また腎臓、尿管の結石は上部尿路結石、膀胱、尿道の結石は下部尿路結石として扱います。 尿路結石の95%は上部尿路結石です。 上部尿路結石と下部尿路結石では、原因や治療法に多少の違いがあります。
結石を構成する成分により数種類の結石に分類されます。蓚酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石、及びこれらが混在する結石が最も高頻度にみられます。尿路感染によって形成されるリン酸マグネシウムアンモニウム結石や、また、遺伝性に発生するシスチン結石も認められることがあります。
特殊な呼称として、腎結石が腎臓内に増大し鋳型状となった結石をサンゴ状結石、 尿管内の同一部位に長期に位置し尿管との癒着が強い結石を嵌頓結石と称します。
「自排」、つまり、自然に尿道から結石を排出させることです。水分を多量にとり、尿管の蠕動運動を活発にさせることで結石の下降を促します。6〜9mm程度の結石ならおよそ3力月以内に排出される可能性があり、小さい結石の場合に有効な方法です。
ほかに、尿酸結石やシスチン結石の場合には、尿をアルカリ性に変える薬などを投与し、結石を溶かす治療を行ないます。これには数ケ月あるいはそれ以上を要します。
侵襲的療法は結石が1cm以上の大きさで自排が困難、あるいは尿の流れが阻害されて水腎症になる恐れがある時、薬の効かない尿路感染症がある時、激しい痛みがある時に行ないます。
体外で発生させた衝撃波を体の中にある結石に集め、そのエネルギーで結石を砕くという方法です。衝撃波が通過した腎組織が損傷を受け、ほぼ全例で血尿が出ますが、手軽であり、最近では外来でも施行可能な機器も開発されました。細かくなった石は尿道より排出されます。
大結石あるいは硬い結石でESWLに抵抗する場合、あるいは解剖学的にESWLが施行しにくい場合には内視鏡的に結石を取り出したり、同じく内視境的に超音波、レーザー、圧縮空気で石を砕く方法も行われます。今日では開腹手衝は稀にしか行なわれません。
当科においては、特に軟性腎盂鏡及びレーザーを用いた結石破砕を主に行っております。