腎細胞癌は毎年10,000人余りが新規に罹患するといわれ、中高年の男性に好発(男女比2:1)する癌です。発症早期ではほぼ無症状で進行するため、健診や人間ドックや、他の病気の検査中に超音波、CT等画像検査で診断されることが多いのが特徴です。
成人に発症する腎癌の多くは腎細胞癌と呼ばれる種類の癌で、ある種の遺伝子疾患に関連して発病することが分かっていますが、ほとんどの場合原因は不明です。
初期では症状がないことがほとんどで、最初にあらわれる症状としては、
血尿、背部痛などがあげられます。
診断には超音波検査、CT検査、MRI検査などが用いられます。通常は超音波検査、CT検査で診断が可能ですが、腎機能が悪い方や、CT検査ではっきりしなかった場合などにMRI検査を行います。そのほか、病期診断のため、骨への転移を調べる骨シンチ検査などを行います。
腎細胞癌の病期は4期に分類され、以下のように分けられます。病期により治療法が異なります。
腎細胞癌は放射線、抗がん剤治療が効きにくく、手術療法が基本となります。
転移病変に対しては、切除術や免疫療法を行っていましたが、近年、分子標的薬という新しいタイプの治療薬が発売され、効果が期待されています。
腎癌の最も基本的な治療法です。近年では身体への負担を少なくする方法、腹腔鏡や多関節アームを有するロボット(ダヴィンチ)を用いたロボット支援腹腔鏡下腎部分切除が多く用いられています。また、4cm以下の小径腎癌には、術後の腎機能低下を抑えるため部分切除や、ラジオ波焼灼術(自費診療となります)などを積極的に行っております
転移のある進行癌に対して、インターフェロンやインターロイキンといった免疫を高めることにより癌を殺す治療法(免疫療法)がおこなわれます。しかし、免疫療法は肺への転移などにはある程度の効果が期待できますが、効果の乏しい場合も多いのが現状です。
進行癌に対して、近年分子標的薬という新しいタイプの薬剤が登場しました。薬剤によって内服薬や点滴薬などがあります。
骨や脳への転移などに対して、放射線治療を行うことがあります。
一般的に、腎細胞癌は早期に発見され、完全に切除できた場合の成績は非常に高いのですが、転移を有する進行癌に対しては、まだまだ十分とはいえません。