腎盂・尿管癌は尿が腎臓で生成された後の通り道である腎盂および尿管内に発生する癌です。
腎実質に発生する腎癌と腎盂に発生する腎盂癌は、まったく別であり、治療法も大きく異なります。
しかし、膀胱は腎盂、尿管と同じ尿路上皮という組織であるため、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌は同じ分類と考えてよいです。
血尿で発見されることが多いです。腫瘍によって尿の流れが障害されると、腎臓が腫れる水腎症という状態になり、腰痛が出現することもあります。
血尿や尿中癌細胞の有無を調べます。
癌の大きさや水腎症を診断します。
静脈から造影剤を注入し、病変部位や水腎症の程度を調べます。
膀胱から尿管にカテーテルを挿入して、
病変の広がりや癌細胞の有無を調べます。
癌の大きさや広がり、リンパ節転移や
他の部位へ転移を調べます。
膀胱を経由して尿管の中を直接カメラで見ることにより、
肉眼的に腫瘍を確認したり組織検査を行います。
病期 I | 表層までの癌。転移なし。 |
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病期 II | 筋層まで達している癌。転移なし。 |
病期 III | 癌が筋層を超え、腎盂周囲または尿管周囲まで達している。転移なし。 |
病期 IV | 周りの臓器または腎臓外まで達している。 またはリンパ節転移、他の臓器に転移がある。 |
転移がない場合(病期T〜V)、基本的に手術療法になります。 従来は、腹部または腰部を大きく切開し、腎臓から尿管を摘出していましたが、最近では、側腹部に1cmくらいの穴を数カ所あけ、そこからカメラや手術器具を 入れて腎臓を剥離した後、下腹部に腎臓がとれるだけの大きさの切開をおき、腎から尿管を摘出するようになりました。(腹腔鏡下腎尿管摘出術)
また、病気Tでかつ腫瘍が小さい場合、尿管鏡で観察しながら腫瘍のみを切除する ことが可能な場合もあります。(腎盂尿管鏡)
病気VまたはWの場合、抗がん剤による化学療法を先行し、効果が認められ、 癌が十分に切除可能な場合、手術を行います。