第270回
日本泌尿器科学会岡山地方会
プログラム・予稿集
日 時:平成18年12月9日(土) 学術集会:午後2時
懇
親 会:午後6時30分
場 所:おかやま三光荘
岡山市古京町1丁目7-36
TEL (086)
272-2271
参加者の皆様へ
1. 受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。
2. 会場費として1000円徴収させていただきます。
3. 一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。
4. コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Winでお願いいたします。
5. コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをMO,あるいはCD-Rディスクにファイルをコピーして,12月6日(水)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日ディスクをご持参下さい。Eメールで1M以上のファイルを送付されますと,岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので,ご遠慮下さい。
6. PowerPoint,Persuasion以外のソフトで作成した図,グラフや動画を挿入している場合には,コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には,コピー元ファイルも必要です。
7. 会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。
8. 予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。
9. 懇親会場は3階和室宴会場『吉備』にて6時30分より予定しております。
会費は6000円です。
*今回は学術集会、懇親会とも三光荘ですのでよろしくお願い致します。
プログラム
一般演題
14:00〜14:40 座長 渡邉豊彦(岡山大学)
1 後腹膜脂肪肉腫の1例【抄録】
佐古真一、岸 幹雄(福山市民)
2
後縦隔腫瘍を合併した副腎骨髄脂肪腫の1例【抄録】
藤田 治、明比直樹、赤枝輝明(津山中央)
林 同輔(同・外科)
3 左腎細胞癌術後に多発性肺転移が著明に縮小した1例【抄録】
郷原真輔、日下信行、小武家誠、藤田竜二(岩国医療センター)
4 当院における特発性腎出血の治療方針【抄録】
小野憲昭、安東栄一、那須良次(高知医療センター)
野田能宏、森田荘二郎(同・放射線療法科)
14:40〜15:30 座長 小野憲昭(高知医療センター)
5 神経性食欲不振症と下剤乱用に伴う酸性尿酸アンモニウム結石の1例【抄録】
國枝太史、井上幸治、植月祐次、齊藤亮一、公平直樹、青山輝義、寺井章人(倉敷中央)
6
上部尿路結石に対する Sonolith Vision (EDAP Technomed) によるESWL治療の現況【抄録】
石戸則孝、野崎邦浩、黒瀬恭平、市川孝治、高本 均(倉敷成人病)
7 腎機能評価におけるシスタチンCの有用性の検討【抄録】
白ア義範、平山 尚、有地弘充(三原赤十字)
8
下大静脈腫瘍塞栓を伴った右腎盂尿管膀胱癌の1例【抄録】
杉本盛人、中田哲也、武田克治、朝日俊彦(香川県立中央)
9
成人男性にみられた尿膜管開存症の1例【抄録】
小出隆生、古川洋二(笠岡第一病院)
15:30〜16:10 座長 林 俊秀(岡山中央)
10
進行性尿路上皮癌に対するGemcitabine(GEM)、Cisplatin(CDDP)、Paclitaxel(PAC)−GCP療法−の検討【抄録】
谷本竜太、眞鍋大輔、和田耕一郎、枝村康平、小林知子、江原 伸、雑賀隆史、
那須保友、公文裕巳(岡山大学)
11
G3 T1膀胱癌に対するrepeat TUR-Bt 【抄録】
上杉達也、三枝道尚、別宮謙介、井口裕樹、荒巻謙二 (広島市民)
12 前立腺小細胞癌の2例【抄録】
近藤典生、原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、 永井 敦(川崎医科大学)曽根淳史(興生総合病院) 小出隆生、古川洋二(笠岡第一病院)
13 腹腔内膀胱破裂の2例【抄録】
高尾 彰、西口 潤、山田大介、陶山文三(三豊総合)
休 憩
16:30〜17:10 座長 明比直樹(津山中央)
14 表在性膀胱癌の術後経過観察中に発生した尿道尖圭コンジローマの1例【抄録】
新 良治、瀬野祐子、津島知靖(岡山医療センター)
宇埜 智(平島クリニック)
15
淋菌性尿道炎の治療成績と薬剤感受性について
石井亜矢乃、和田耕一郎、上原慎也、渡辺豊彦、門田晃一、公文裕巳(岡山大)
近藤捷嘉、大橋輝久、山本康雄、村尾 航(岡山赤十字)赤澤信幸(岡山済生会)
津川昌也、佐々木克己(岡山市民) 橋本英昭(川崎)
西光雄、水野全裕、倉繁拓志(香川労災)
那須良次、小野憲昭、安東栄一(高知医療センター)
吉田光宏(吉田泌尿器科)
亀井義広(亀井クリニック)
16 陰嚢内硬化性脂肪肉芽腫の1例【抄録】
上松克利、大橋洋三(栗林病院)
17
鼠径部に発生した皮膚隆起性線維肉腫(DFSP)の1例
森岡政明、絹川敬吾(松田病院)、梅田直人(福山光南病院・形成外科)
和仁洋治(倉敷中央病院・病理検査科)
17:10〜17:30
日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告
津島知靖(岡山医療センター)
難波克一(岡山県国保連合会)
朝日俊彦(香川県立中央)
赤枝輝明(津山中央)
特別講演
17:30〜18:30 座長 公文裕巳(岡山大学)
臓器移植に関する法的および倫理的問題
粟屋 剛(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 生命倫理教授)
18:30〜
懇親会 おかやま三光荘3F和室宴会場『吉備』
一般演題
1. 後腹膜脂肪肉腫の1例
佐古 真一、岸 幹雄(福山市民)
患者は70歳女性。既往歴:左鼠径ヘルニア、高血圧。2005年2月初旬右下腹部の膨隆を自覚し近医受診し右腎腫瘍25×15×10cmを指摘され2005年2月21日当科初診。CT、骨シンチでは右腎外側に大きく発育する腫瘍を認め肝、腸腰筋と広く接していたがあきらかな遠隔転移巣なく、2005年3月24日後腹膜腫瘍摘出術を施行。組織結果はDedifferentiated
and well liposarcomaであった。Adjuvant
therapyせず経過観察していたが2005年7月CTにて後腹膜への局所再発また骨シンチにて第6頚椎、第12胸椎への転移を認めたため入院の上THP 37.5mg/m2 day1,2、IFM1.8g/m2 day1-3及び骨転移に対して放射線療法を開始した。4course終了後、腫瘍はPRであったが6course終了後はPDであったためIFM 1.2g/m2、CBDCA 100mg/m2、VP-16 100mg/m2 day1-3を2course施行も腫瘍縮小効果なくまた化学療法の継続困難となり2006年9月永眠された。後腹膜脂肪肉腫につき文献的考察を含め発表する予定である。
2. 後縦隔腫瘍を合併した副腎骨髄脂肪腫の1例
藤田 治1)、明比直樹1)、赤枝輝明1)、林 同輔2)(津山中央泌尿器科1)、外科2))
症例は47歳男性。6年前検診にて径2cmの右腎腫瘍指摘受け他院にてCT、MRI精査も血腫と診断され放置していた。今回平成18年6月当院内科糖尿病教育入院中、CT検査で右腎腫瘍径4.6cmと増大傾向にて6月14日当科紹介受診。CT上右副腎腫瘍を疑いMRI及びホルモン検査を行い,内分泌非活性の副腎骨髄脂肪腫と診断した。その際Th10〜12椎体右側に充実性の後縦隔腫瘍あり悪性も否定できない為、8月18日に胸腔鏡下右後縦隔腫瘍摘出術ならびに腹腔鏡下右副腎摘除術を行った。病理組織学的検査では後縦隔腫瘍はリンパ濾胞の増生とリンパ濾胞の周囲に血管の増生を認めるhyaline
vasucular typeのCastleman’s
disease、副腎腫瘍は成熟脂肪細胞と三系統の造血細胞からなる骨髄脂肪腫の診断であった。
今回我々は後縦隔腫瘍を合併した副腎骨髄脂肪腫の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
3. 左腎細胞癌術後に多発性肺転移が著明に縮小した1例
郷原真輔、日下信行、小武家誠、藤田竜二(国立病院機構 岩国医療センター)
症例は80歳男性。2006年1月頃より血痰が出現し、3月下旬に近医受診。CTで左腎腫瘍と、多発性肺転移を認めたため、2006年4月5日当科紹介受診。左腎上極に6×5cm大の腫瘍及び左腎静脈内腫瘍血栓、多発性肺転移、胸膜転移、右側胸水を認めT3bN0M1
stageIVと診断。4月24日左腎動脈塞栓術(TAE)、4月25日経腹的左腎摘除術を施行した。病理結果はclear cell
carcinoma,G3,v+,INFβ,pT3abN0M1
stageIVであった。術後補助療法として5月15日からインターフェロン300万単位投与開始したが、5月29日に呼吸困難出現し間質性肺炎疑いにてインターフェロン中止した。対症療法にて間質性肺炎は改善し、その後補助療法は行わず経過観察をしていたが、8月23日CTで多発性肺転移、胸膜転移の縮小と、右側胸水の消失を認め、血痰、呼吸困難などの症状も消失した。今回我々は肺転移を有する腎細胞癌に対し原発巣切除にて著明な肺転移縮小例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
4. 当院における特発性腎出血の治療方針
小野憲昭、安東栄一、那須良次(高知医療センター泌尿器科)
野田能宏、森田荘二郎(同放射線療法科)
【目的】当院における特発性腎出血症例の成績を集計し、その治療方針につき報告する。【対象と方法】2004年4月から現在までの8例で、男性3例・女性5例、左側7例・右側1例。膀胱鏡、腎盂造影などの通常の検査に加え、ダイナミックCTを施行した。腎盂尿管鏡検査は、細径の硬性鏡3本(先端径6Fr・6.5Fr・8Fr、いずれもWolf社製)を順にダイレクトに挿入して、可能な範囲の観察と同時に尿管拡張を行なう。次に軟性ファイバー(URF
P3、先端径6.9Fr、OLYMPUS社製)を挿入して各腎杯を観察し、出血点はHoYAGレーザーで焼灼した。これでも止血困難な1例で腎動脈造影を行なった。【結果】8例中3例では尿管鏡による腎杯の確認で明らかな出血点が認められず観察のみとしたが、いずれも検査後血尿は消失した。4例は上または中腎杯からの出血で、微小血管の破綻であり、HoYAGレーザーで焼灼止血した。1例は下腎杯の上後方寄りの腎杯からの出血で、スコープが腎杯の奥まで到達せずレーザーによる止血は不十分であった。選択的腎動脈造影では下極背側枝にごく小さな腎動静脈瘻が疑われ、コイルを用いた選択的腎動脈塞栓を施行し、血尿は消失した。【考察】特発性腎出血に対しては、腎盂尿管鏡検査ならびに内視鏡的止血術が第一選択である。治療困難例にて選択的腎動脈塞栓術が有効であった。
5. 神経性食欲不振症と下剤乱用に伴う酸性尿酸アンモニウム結石の1例
國枝太史、井上幸治、植月祐次、齊藤亮一、公平直樹、青山輝義、寺井章人
(倉敷中央病院 泌尿器科)
現代女性の過度のダイエット志向を背景に、神経性食欲不振症は本邦においても10~20歳代の女性を中心にその数を増している。今回我々は神経性食欲不振症に伴って酸性尿酸アンモニウム結石を発症した症例を経験したので、若干の考察を加えて報告する。
症例は40歳女性、平成6年頃から痩せ願望が強く、市販下剤(コーラック)1回10錠(通常用量1回2錠)2日に1回服用するようになっていた。受診時身長156.9cm、体重33.4kgと痩せ著しく、無月経になっていた。今回健診にて膵酵素の上昇を認め、前医内科にて腹部CT施行、偶然左珊瑚状腎結石を指摘され、平成18年8月24日当科紹介受診となった。
左珊瑚状腎結石に対して経皮的腎結石砕石術(PNL)目的に9月8日入院となった。9月11日にPNL施行。9月25日残石に対して2回目のPNL施行。9月26日のKUBにて明らかな結石の残存は認めず。9月28日腎瘻抜去。結石分析にて酸性尿酸アンモニウム結石と判明、原因として神経性食欲不振症と下剤乱用が考えられた。内分泌内科にて代謝異常なども精査したが明らかな異常は認めなかった。神経性食欲不振症に関しては近医心療内科にてフォローの予定となり、便通コントロールは酸化マグネシウム、大建中湯、ラキソベロンで対応、コーラックはなるべく使用しない様に指導し、10/8退院となった。
6. 上部尿路結石に対する Sonolith
Vision (EDAP Technomed) によるESWL治療の現況
石戸則孝、野崎邦浩、黒瀬恭平、市川孝治、高本 均(倉敷成人病センター 泌尿器科)
【目的】EDAP Technomed社製 ESWL装置Sonolith
Visionを用いて当院で行った上部尿路結石に対する治療効果と安全性について検討した。【対象と方法】2006年4月から10月までに154例(性別:男116例、女38例、年齢:18〜88歳、平均52.4歳)に対して、主に外来でケトプロフェン座薬挿入後ESWLを行った。治療中は血圧のモニタリングを行った。焦点キャリブレーションはCアームを用いた。照射周波数は2Hzで、1回の照射時間は、腎結石25分、尿管結石45分以内であった。【結果】治療対象157単位の内訳は腎37単位、尿管120単位、結石サイズは2〜38mm(平均8mm)、治療回数は233回(単位あたり平均1.48回)であった。単独治療143単位、TUL併用14単位であった。【考察】当院では従来のピエゾ効果方式のESWLに変えて、スパーク放電方式のSonolith Visionを導入した。当機は電気電動式の電極と、浅い楕円形のジェネレーターを有し、痛みを軽減した短時間治療を目的に開発された。治療効果は完全排石率71%、ESWL成功率100%であった。副作用は治療を中止した血圧上昇3例、保存的に経過観察した腎被膜下血腫2例であった。上部尿路結石に対する Sonolith
Visionの有用性を認めた。
7. 腎機能評価におけるシスタチンCの有用性の検討
白ア義範、平山 尚、有地弘充(三原赤十字病院 泌尿器科)
【目的】糸球体濾過量(GFR)の評価として内因性クレアチニンクリアランス(Ccr)が広く用いられているが、蓄尿が必要であり、必ずしも簡便な方法とは言えない。今回、シスタチンCからGFRを推定し、実測のCcrと比較することにより、腎機能評価におけるシスタチンCの有用性について検討した。更に、血清クレアチニン値(Cr)からもGFR推算値を求め、これを実測Ccrと比較した。
【対象と方法】2006年6月〜9月における当院入院および外来患者で詳細な腎機能の評価が必要であった45人を対象とした。男性24、女性21人で、年齢は25〜87歳、平均64.6歳であった。血中シスタチンC値とCr値を測定し、これらをもとにGFRの推算値を求めた。24時間Ccrを測定し、各GFR推算値との相関を調べた。なお、CrからはMDRD簡易式およびCockcroft-Gault式を用いて、シスタチンCからはLarssonの公式を用いて、GFR推算値を算出した。
【結果】各GFR推算値は24時間Ccrと有意な相関を示した。
【考察】シスタチンCは腎機能評価に有用で、24時間Ccrに代用できる可能性がある。
8. 下大静脈腫瘍塞栓を伴った右腎盂尿管膀胱癌の1例
杉本盛人、中田哲也、武田克治、朝日俊彦(香川県立中央病院)
症例は71歳、男性。肉眼的血尿を主訴に近医受診。腹部超音波にて膀胱腫瘍を疑い、当科紹介受診となった。膀胱鏡にて膀胱全周性に多発する、乳頭状広基性腫瘍を認めた。CTでは右腎盂尿管の拡張、腎実質の腫瘍性病変と下大静脈への腫瘍塞栓が疑われた。同日入院し、経尿道的膀胱腫瘍生検を施行。病理組織検査にて尿路上皮癌、G2>G3と診断された。入院後再度施行した造影CTでも傍大動脈リンパ節腫脹、右腎上極に辺縁不明瞭な腎実質より高濃度に造影される腫瘤を認め、腫瘍塞栓の形態からも右腎癌と考えた。術前診断は膀胱癌T2aN0M0、右腎癌T3bN1M0。手術は開腹での右腎尿管膀胱全摘および、下大静脈壁切除、腫瘍塞栓除去、リンパ節郭清、回腸導管造設術を施行した。病理組織検査では膀胱、尿管、腎盂に一部腺癌、扁平上皮癌認めたが、大部分が尿路上皮癌であり、腎腫瘍と思われたものは腎盂腫瘍の腎実質侵潤の所見であった。膀胱癌T3N0M0、右腎盂尿管癌T3N0M0と診断し、術後補助療法としてM-VAC療法2クールを施行。現在再発を認めていない。腎盂腫瘍に腫瘍塞栓を伴うことは比較的稀とされており、今回術前CTでは腎腫瘍を思わせる所見であったため、診断が困難であった。若干の文献的考察を加えて報告する。
9. 成人男性にみられた尿膜管開存症の1例
小出隆生、古川洋二(笠岡第一病院)
症例は52歳男性。本年8月排尿時の臍右横下の疼痛と臍よりの排膿を主訴として当科受診。腹部CTおよび臨床所見で急性化膿性炎症を伴った尿膜管遺残と診断、抗菌剤投与するも疼痛および排膿の軽減なく手術目的で入院した。入院直後、突然の尿閉(導尿1400ml)を来し、臍より尿の溢流を認めた。MRIでは膀胱と臍の瘻孔部が前回のCTと比し著明に拡張していた。膀胱鏡検査では膀胱頂部に拡張した尿膜管遺残および臍に通じる瘻孔と毛髪を核とした結石様物2個を認めた。以上より尿膜管開存症と診断し尿膜管摘出術を施行した。全身麻酔下に臍から軟性膀胱鏡を挿入し膀胱まで瘻孔が完全に開通していることを確認後、尿膜管全摘術兼膀胱部分切除術を施行した。病理診断は炎症を伴う尿膜管開存症であった。術後8日で留置カテーテルを抜去、自排尿可能となり軽快退院した。術後1ヶ月目に膀胱機能検査を施行したが明らかな異常を認めなかった。尿閉をきたした尿膜管開存症:成人例を経験した。本例は稀な疾患で若干の文献的考察を加え報告する。
10.進行性尿路上皮癌に対するGemcitabine(GEM)、Cisplatin(CDDP)、Paclitaxel(PAC)−GCP
療法−の検討
谷本竜太、眞鍋大輔、和田耕一郎、枝村康平、小林知子、江原伸、雑賀隆史、那須保友、
公文裕巳(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 泌尿器科病態学)
【目的】進行性尿路上皮癌に対するMVAC療法に替わる治療としてGCP療法を行ってきた。GCP療法の治療効果、副作用について検討した。
【対象および方法】2003年5月から2006年10月までに、進行尿路上皮癌25症例(男性17例、女性8例、中央値64歳)に対し、GEM 1000 mg/m2 (days 1、8)、CDDP 70 mg/m2 (day 1)、PAC 80 mg/m2 (days 1、8)を3〜4週毎に投与するGCP療法を行った。7例でPACを、2例でCDDPを除外したレジメンで投与した。また、11例では化学療法の既往があった。原発は膀胱12例、上部尿路13例であった。近接効果は評価可能病変を有する17症例を対象とした。
【結果】RECISTでは、PR10例(59 %)に認め、SD6例(35 %)、PD1例(5.9 %)のみであった。さらに、そのPR症例のうち1例はpCRであった。他に癌性腹水を有した1例では腹水の完全消失をみた。副作用については、Grade3以上の白血球減少を14例(56 %)に、貧血を5例(20 %)に、血小板減少を9例(36 %)に認めた。アジュバント目的で行った症例を除く19例の非増悪生存期間は8.5ヶ月、全生存期間は21.0ヶ月と良好な結果であった。
【結論】GCP療法は進行尿路上皮癌に対して安全で有効な治療であると考えられる。
11.G3 T1膀胱癌に対するrepeat
TUR-Bt
上杉達也、三枝道尚、別宮謙介、井口裕樹、荒巻謙二 (広島市民)
近年、TUR-Btにて表在性膀胱癌と判明した症例にrepeat TUR-Btすると、相当な割合で残存病変やstaging errorが認められること、またその後のBCG膀注の治療効果が高まるという報告がなされている。今回、当施設でもG3T1膀胱癌に対し、repeat TUR-Btを開始した。
対象は2006年1月以降、初発の膀胱癌で初回のTUR-BtにおいてT1かつG3を含んだ症例10例(男性8例、女性2例)。平均年齢は67.0歳(56−81歳)。最初のTUR-Btから1ヶ月前後で再度TUR-Btを行い、病理組織学的に検討した。11月20日現在、病理組織検査結果の判明している、9例中3例(33%)に残存がん細胞が認められ、6例にBCG膀胱内注入療法を開始している。現段階では長期予後については不明であるが、若干の文献的検討を加え報告する。
12.前立腺小細胞癌の2例
近藤典生、原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医科大学)
曽根淳史(興生総合病院)小出隆生、古川洋二(笠岡第一病院)
【症例1】69歳の男性。2000年10月検診にてPSA 37ng/ml を指摘され、前立腺生検を施行した。前立腺癌T3bN0M1b Adenocarcinoma Gleason Score5+4の診断にて2000年10月より内分泌療法(MAB)を施行した。2002年3月PSAが3.7ng/mlと再燃をきたしたため、Dexamethasone1.5mg/日投与を開始した。2005年8月排尿困難が増強し、同時に排便障害をきたしたため受診。前立腺は急激に増大し、多発性の肝転移を認めた。PSA 0.1 ng/ml、NSEは800 ng/mlであった。2005年9月前立腺再生検を施行、前立腺小細胞癌と診断。Docetaxel、Carboplatin、Estramustin併用療法を施行。NSEは4.2 ng/mlに低下し肝転移は縮小を認めたが、2ヵ月後増悪したため、2006年2月よりEtoposide、Carboplatinによるsecond line chemotherapy を施行、現在経過観察中である。【症例2】78歳の男性。初診時PSA 25.27 ng/ml、2004年11月より前立腺癌 T3bN0M0 Adenocarcinoma, Gleason Score4+5の診断で内分泌療法(MAB)開始した。2006年8月14日肉眼的血尿を認め、9月16日膀胱タンポナーデとなり入院。PSA 0.95 ng/ml、NSE 140 ng/mlであり急激な前立腺の腫大を認めた。10月6日前立腺再生検にて前立腺小細胞癌と診断した。肺小細胞癌のregimenに準じてIrinotecan、Cisplatinによる化学療法を開始し、11月10日現在NSEは8.6 ng/mlに低下しており、経過観察中である。【考察】前立腺小細胞癌は初発前立腺癌の約1%、また再燃前立腺癌にも認められ、急激に憎悪し予後の悪い病態である。最近経験した2例の前立腺小細胞癌において、肺小細胞癌のregimenに準じて化学療法を施行したので文献的考察を含めて報告する。
13.腹腔内膀胱破裂の2例
高尾 彰、西口 潤、田大介、陶山文三(三豊総合病院 泌尿器科)
今回、外傷性および自然腹腔内膀胱破裂の症例を経験したので報告する。症例1は、53歳、男性、2002年11月22日高速道路で飲酒追突事故を起こし、当院救急へ搬送された。腹痛あり、CT検査にて腹腔内膀胱破裂を認め、緊急手術となった。開腹し腹腔内から膀胱を観察した所、膀胱頂部に、約6cm程度の裂傷を確認し、縫合閉鎖した。症例2は、82歳、女性、著明な腹水貯留を主訴に、2006年10月24日当院内科に入院。内科で腹水穿刺を施行された。内科入院後尿道カテーテルを留置されていたが、血尿を認めるとの事で、10月30日当科紹介となった。既往歴を確認したところ、40年程前に子宮頸がんに対して、放射線治療の既往があること、肝機能障害などの基礎疾患が無く、腹水が貯留する原因が無いことから、放射線治療後の自然腹腔内膀胱破裂と診断した。尿道カテーテルを3週間留置し、膀胱造影、膀胱ファイバー検査にて、瘻孔が閉鎖したことを確認の後、尿道カテーテルを抜去した。以上の症例について、若干の文献的考察を加え報告する。
14.表在性膀胱癌の術後経過観察中に発生した尿道尖圭コンジローマの1例
新 良治、瀬野祐子、津島知靖(国立病院機構岡山医療センター)
宇埜 智(平島クリニック)
症例は74歳、男性。平成15年12月大阪の病院にて膀胱癌を指摘され、平成15年12月25日TUR-Btを施行された。病理組織はUC,G2,T1であったが、術前のMRIではT3であったため、後療法として平成16年1月より低容量CDDP併用の放射線治療total60Gyが行われた。平成16年6月、平成17年3月に膀胱生検施行されているがいずれもno
malignancyであった。岡山へ転居となったため平成17年10月より平島クリニックで定期的な膀胱鏡による経過観察が行われていたが、平成18年8月19日の膀胱尿道鏡で前部尿道に乳頭状腫瘍の再発が認められたため、8月21日当科へ紹介され受診した。肉眼的には膀胱癌の尿道舟状窩再発と考えられたため9月12日全身麻酔下に陰茎部分切除術を施行した。術後経過は良好であったが、病理組織は尖圭コンジローマで、悪性所見を認めなかった。患者は数年来性行為を行っておらず、感染経路は不明である。
岡山大学の検討において、膀胱癌の前部尿道再発に対する治療は膀胱全摘、尿道摘除あるいは陰茎切断など根治的治療が必要としているが(Acta
Med. Okayama,2003)、舟状窩の再発では尖圭コンジローマの可能性も考慮する必要があると考えられた。
15.淋菌性尿道炎の治療成績と薬剤感受性について
石井亜矢乃,和田耕一郎,上原慎也,渡辺豊彦,門田晃一,公文裕巳(岡山大)
近藤捷嘉,大橋輝久,山本康雄,村尾 航(岡山日赤)
赤澤信幸(岡山済生会)
津川昌也,佐々木克己(岡山市民) 橋本英昭(川崎)
西光雄,水野全裕,倉繁拓志(香川労災) 那須良次,小野憲昭,安東栄一(高知医療センター) 吉田光宏(吉田泌尿器科) 亀井義広(亀井クリニック)
【目的】今回我々は中四国地方で加療された淋菌性尿道炎患者の治療成績と淋菌の薬剤感受性について検討した。【対象・方法】1997年3月〜2006年6月に当科およびその関連病院で加療され,淋菌の保存が可能であった淋菌性尿道炎症例745例を対象とし,臨床背景・効果および薬剤感受性の年次推移を検討した。治療効果判定はUTI薬効評価基準に基づいて行ない,薬剤感受性はSPCM,CTRX,CFIX,OFLXの4剤を検討した。【結果・考察】感染源はCSWが最も多かったが,一般女性からの感染が増加傾向にあった。治療薬剤はFQSの使用頻度が減少し,SPCM,CEPSの増加を認めた。投薬終了後3-7日目における臨床症状の効果判定可能症例は745症例中515例であり,Cure53.2%(274/515),Failure46.8%(241/515)であった。細菌学的効果判定可能症例は745症例中284例で,Eradication71.1%(202/284),Persistence28.9%(82/284)であった。C.trachomatis抗原陽性率は12.3%(76/620)であった。前期(1997-2000年),中期(2001-2003年),後期(2004-2006年)での各薬剤の耐性率はそれぞれSPCM1.0%,
1.0%,1.7%(MIC128≦μg/ml),CTRX3.4%,3.3%,1.0%(MIC0.5≦μg/ml),CFIX7.0%,5.4%,2.6%(MIC0.5≦μg/ml),OFLX59.2%,78.0%,83.2%(MIC0.5≦μg/ml)であった。FQSの耐性化はさらに進行していることが示唆された。最近,CFIXの無効例が多数報告されているが,今回調べた地区では明らかな耐性化傾向を認めず,SPCM,CTRX,CFIXは良好な感受性を示していた。
16.陰嚢内硬化性脂肪肉芽腫の1例
上松克利、大橋洋三(社会保険栗林病院 泌尿器科)
症例は43歳男性。0歳時に右鼠径ヘルニア手術の既往あり。主訴は陰茎根部の無痛性腫瘤。平成18年8月初旬に陰茎根部腫瘤に気付いた。痛みが無いため経過を見ていたが腫瘤の増大を認めたため、8月14日当科初診となった。視診上陰茎根部を取り囲むリング状の硬結を触れた。MRIではT2強調像にて低信号を呈する腫瘤を認め、不均一な造影効果を認めた。8月18日局所麻酔下に開放生検施行。病理組織では脂肪組織内に発生した多核巨細胞を伴う肉芽腫で、好酸球及びリンパ球の浸潤を認め、硬化性脂肪肉芽腫との診断であった。8月22日より紫苓湯内服開始。内服4週にて硬結は消失し、現在再発を認めていない。陰嚢内硬化性脂肪肉芽腫は陰嚢内に発生する比較的まれな良性疾患である。好発年齢は30歳〜40歳台で、原因として異物混入、外傷、寒冷暴露、圧迫などの報告があるが、多くの場合は明らかな原因は見あたらない。治療は摘出術か抗生物質、消炎剤等での保存的治療が選択されることが多い。本症例では診断確定後保存的に加療し、腫瘤は消失した。
17.鼠径部に発生した皮膚隆起性線維肉腫(DFSP)の1例
森岡政明、絹川敬吾(松田病院)、梅田直人(福山光南病院・形成外科)
和仁洋治(倉敷中央病院・病理検査科)
症例は50歳、男性。2年前から左鼠径部の小腫瘤に気付く。徐々に増大してきたため2006/7/19
当科受診した。左鼠径部に3x2.5cmの硬い隆起性腫瘤を認め, 皮膚に固着し、皮下組織への浸潤なく可動性良好であった。CT
scan で大きさ3x2.5cm、muscle
density massで皮下組織への浸潤は見られなかった。局所麻酔下で切除したが組織検査結果はspindle-shaped
cell のstoriform (cartwheel) growth patternからなり、周囲脂肪組織への浸潤(honeycomb
entrapment)が見られた。mitosis
は20視野に1個以下であった。免疫組織学的にCD34、MIB-1が陽性、α-SMA,
Desmin, h-caldesmon は陰性であった。皮膚隆起性線維肉腫
Dermatofibrosarcoma protuberans (DFSP)と診断した。positive
marginであったので1カ月後に初回手術創を中心に10x8cmの広範皮膚切除、大腿外側有茎皮弁による植皮術を行った。組織学的に残存腫瘍なく治癒切除と判断した。DFSPは青壮年層の体幹、四肢に好発する皮膚悪性腫瘍で、局所再発頻度は高いが遠隔転移はまれとされている。全肉腫の1%の頻度で、人口100万人あたりの発生率は0.8~5例/年、性差はないとされている。